芹明香 祭りの準備 昭和30年代はじめの高知県。町の信用金庫に勤める楯男はシナリオ作家になることを夢見て、いつかはこのわずらわしいだけの町を出たいと思っていた。楯男は愛人を作って出て行った父親不在の実家で母親と祖父と3人で暮らしている。そんな楯男にとってひそかに想いを寄せる存在が幼なじみの涼子だった。しかし、涼子には恋人がいて、どうすることもできない楯男は、隣家の精神異常の娘と寝てしまう……。中島丈博の半自伝的小説を、『竜馬暗殺』の黒木和雄監督が映画化。夢想と現実が拮抗する青年の心と行動が、全く新しい感覚と鋭い洞察力で見事に描かれた傑作。