結城マミ 江戸川乱歩「悪魔の紋章」より 死刑台の美女 『死刑台の美女』は、まず、伊吹吾郎の名探偵宗方博士が事件に挑むが、犯人に裏をかかれっぱなし。そして天知茂の明智小五郎先生が満を持して……、という展開は推理小説を読みなれた人ならすぐに犯人の見当がつきますが、それよりもこの『死刑台の美女』というタイトルにもかかわらず冒頭で死刑台を持っている人物を明かし、さらに「処刑は芸術だ」みたいなことを言わせている神経を疑います。伊吹吾郎はこのあと、『妖精の美女』ではロベールという角刈りのフランス人を演じていましたが、どう見ても無理がありました。