山田キヌヲ 女殺油地獄 舞台は大坂。油屋の次男で放蕩三昧の日々を送る与兵衛は、遊女にもとに通いつめた挙句に借金で首が回らなくなり、とうとう両親から勘当されてしまう。
借金の返済に困った与兵衛が尋ねたのは、日ごろから何かと見守ってくれていた隣家の女房のお吉。
しかし借金の無心を断られた与兵衛は、思い余ってお吉を殺してしまう…。
二人がもみ合ううちに油を貯めた壺が倒れ、お吉が逃げ惑っては滑り、与兵衛も追いかけては滑りと、
油まみれの二人がもつれあうクライマックスの場面が印象的。
原作は江戸中期に人気を博した浄瑠璃作家の近松門左衛門。
その代表作ともいえる同名の原作を、脚本・富岡多恵子、演出・和田勉、主演・松田優作という豪華な布陣でTVドラマ化した傑作。
親の金を注ぎ込んでは遊女との情欲に溺れ、暴力で己の欲望を手に入れる与兵衛が追い詰められていく様子を、松田優作が巧みに演じている。