矢島知香 くノ一忍法帖 IV 忠臣蔵秘抄 浅野内匠頭の松の廊下での刃傷が冒頭でザッと流される。しかし、物凄く端折っているので、忠臣蔵を知らない人には不親切な作りだ。赤穂事件の時の米沢上杉の殿様は上杉綱憲。吉良上野介の息子さんである。綱憲は、自分の親父が赤穂浪士に狙われているということを知り、配下の忍びたちに、吉良邸討ち入りの血判状に署名した者たちの始末を命じる。一方、上杉家家老・千坂兵部は綱憲の動きを知ると「今、このタイミングで赤穂の浪人たちが不審な死を遂げれば、世間の疑いの眼は、間違いなく吉良か上杉に注がれる」と判断。しかし、討ち入りを許すわけにはいかない。そこで、子飼いのくの一たちに「有力な浪士たちを忍法(助平なものばかりなので、実質色仕掛け)で骨抜きにして脱盟させろ」と命じる。綱憲配下の忍び、兵部配下の能登くの一、赤穂浪士の三つ巴の戦いが始まる…というお話。