七瀬なつみ 「桜の樹の下で」

七瀬なつみ 桜の樹の下で 渡辺淳一の小説を岩下志麻主演で映画化したラブストーリー。40代半ばの老舗料亭の女将・菊乃と、商売の見習いをするその娘・涼子。その親子関係は崩れ、ひとりの男をめぐる恋のライバルとして火花を散らす。“<東映 ザ・定番>シリーズ”。

京都にある老舗の料亭「たつむら」の女将・菊乃は、四十半ばながらその美貌は歳を感じさせなかった。夫とは別居状態で娘の涼子と二人暮らし、時おり東京の出版社社長・遊佐恭平と大人の恋愛を楽しんでいる。「たつむら」の東京支店オープンの準備が進められ、大学を卒業した涼子は菊乃の許で見習いを始めた。春、京都の桜を見に来た遊佐を涼子か案内し、今度よその桜を見に連れていってほしいと頼んだ。東京支店の準備も大詰めとなり菊乃は遊佐と東京・三田のマンションを見に行った。暗闇の中で二人は愛し合い、菊乃は早く東京の人になりたいと思った。五月、涼子は遊佐にせがんで、二人は秋田へ飛び、角館の桜を見に行った。その晩、遊佐と涼子はホテルで結ばれた。それから涼子の様子が変わり、遊佐も菊乃を避けるようになった。東京支店の披露パーティーで菊乃は、遊佐と涼子が仲睦まじく手を握っているのを見て二人の仲を悟った。菊乃は母としてではなく女の意地から東京の店を涼子に任せ、遊佐に監視役を頼んだ。涼子は一人前の女となり、やがて遊佐の子を妊娠した。菊乃は京都で店を切り盛りしながら一人悩んでいた。そして菊乃は上京した際にマンションから飛び降り自殺を遂げた。その日、涼子は流産し、たぶん母が子供を連れていったのだと思った。涼子は桜の樹の下には屍体が埋められており、狂い咲きするのだという伝説を思い出し、遊佐と別れる決意をするのだった。

「桜の樹の下で」の解説
一人の男をめぐって繰りひろげられる母と娘の愛と葛藤を描く。渡辺淳一原作の同名小説の映画化で、脚本は「ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎完結篇」の那須真知子が執筆。監督は「姐御(1988)」の鷹森立一、撮影は「冬物語」の林淳一郎がそれぞれ担当。

公開日 1989年5月13日
監督:鷹森立一
原作:渡辺淳一
出演:岩下志麻 七瀬なつみ 寺田農 山口果林 志喜屋文 山本緑 大場順 久保菜穂子 野坂昭如 二谷英明 十朱幸代 津川雅彦 早川雄三 山本勝 仲塚康介 中平良夫 石川知子 斉藤英一 真柴夕李子 佐々森勇二 紫乃ゆう 広世克則